川崎フォトエッセイ  その136  模型    ←前 次→  HOME


 模型は模型で実在する。ただその使われ方は、実物のそれではない。だが、実物と同じ使われ方をしている模型もある。
 長崎の眼鏡橋の模型が長崎水族館にあった。地面の上に置かれているだけで、下に川が流れているわけではない。しかしこの模型の橋を渡ることができる。と、いうよりその上を歩くことができるというべきか。
 この模型の眼鏡橋は、橋としての本来の意味から離れている。乗り越えるべき川がないところに橋があっても意味がない。そのため、別の意味が発生している。つまり玩具としての意味が生まれているのだ。模型は玩具になりやすい。
 実用的な橋の意味を失っても「橋を渡る」という体験は可能だ。また、縮小され、材質も違う橋だと、逆に本物より迫力があったりする。
 まあ、橋に迫力を求めるのは意味違いなのだが、本物の橋が落ちると、怖いのは確かだ。