川崎フォトエッセイ  その162  ある日常    ←前 次→  HOME


 風景写真に人物が入り込んでいると、ぐっとリアルになる。しかも、その風景が日常風景の場合、そこに入り込んでいる人物はさらにリアルだ。リアルすぎて風景の中に溶け込んでしまう。

 日常の風景は普段着の風景である。したがって行き交う人も普段着である。

「日常」の受け止め方は人によって違う。ある人の日常から見れば、他の人の日常は「現実離れ」している場合もある。日常はあくまでも、その人の日常で、一般化しにくい。

 人によって「常日頃」が違うし、同じ人でも一日の中で、まったく違う環境の中を出たり入ったりしている。

 日常的な風景は、そのため把握しにくい。強引にいえば「よくある生活風景」なのだが、「一般の人」とか「市民」が、誰を指しているのかがわからないように、誰にも当てはまるようで、誰にも当てはまらないところがある。

 それでも、雰囲気としての日常はある。日々の暮ら方がその人の日常なのだが、曜日によって暮らし方も違ったりして、定義するのは、やはり難しいものだ。