川崎フォトエッセイ  その163  野草    ←前 次→  HOME


 モータープールでも作ろうとしていたのか、その予定地に雑草が生い茂っていた。元々、農地だった場所だけに、昔に戻ってしまったのだ。

 クローバー、レンゲ、タンポポなどは、春の息吹を感じさせてくれる貴重な草花だ。しかしその周辺に名もない雑草も生えている。まあ、それは僕が名前を知らないだけで、そこそこ有名な雑草なのかもしれない。

 鉢植えで売っている観賞用の草花と違い、野草は、こちらが発見しないと観賞できない。いや、むしろ見つける楽しさがある。それを抜いて持ち帰っても、すぐに枯れてしまうだろうし、部屋や庭に持ち込んでも、違和感があるように思う。やはり、野原や野道にあるからこそ野草の趣がある。

 しかし、背景に違和感のある場所、たとえばコンクリートの割れ目で咲くタンポポなどは、それなりに、感銘深いものがある。この時代のアートかもしれない。