川崎フォトエッセイ  その241  貼り紙    ←前 →次  HOME

「はり紙禁止」と書かれた貼り紙は、貼り紙ではない。なぜなら、紙ではないからだ。一休さんのとんち話と似ている。「このはし、わたるな」で、橋の端を渡れば大丈夫……といった具合だ。

 貼り紙も、貼らないで、ぶら下げているだけならいいとかの問題ではない。また紙ではなく、布ならいいのではとも解釈できる。いずれも駄目であることはわかっている。貼り紙以外に、適当な言葉がないのだ。

 しかし、電柱に貼られた「はり紙禁止」の文字は、本物の貼り紙よりも目立つ。これは、貼り紙禁止なので、誰も貼れない(テープやノリがくっつきにくいボードが巻かれている)ため、ワンマンショーとなるからだ。

「ゴミを捨てるな」の木の表札が、もろに美化を損ねたり、「落書きするな」と、壁に落書きされていたり……等々、突っ込めばきりがない。

 いずれも、同じ土俵の上でものを言うため、そうなるのだ。