川崎フォトエッセイ  その242  平衡感覚    ←前 →次  HOME

 重心というのは、常に変わるので、バランスが必要になる。物理的な単なる重さだけの問題なら簡単だが、人間や環境に対するバランスとなると、単純に計って計測することはできない。

 計測する行為が加わることによって、バランスそのものが狂うのだ。計測者も計られながら計る訳なので、計測に希望が入りやすい。

 絶妙のバランスとは、それさえも含めた上でのバランスで、計測器そのものも変化させることになる。つまり、Aさんの体重計では60キロでも、Bさんのでは50キロになる。これは、数値としてのレポートには向かい。あくまでもニュアンスを伝えるためのデータなのだ。

 データは、データそのものの状態で存在しているわけではないので、データをいくら調べても「そのもの」は掴めない。

 心の平衡感覚、その計測器はブラックボックスだ。