川崎フォトエッセイ  その291      ←前 →次  HOME


 屋根瓦は、屋根の上にある。それが、普段見かける屋根瓦の定位置だ。ところがひさしの下とかに積まれていることもある。これは別に屋根瓦の正しい置き方ではない。瓦としての機能はもう終わっている。

 そのあと、説明しにくい存在となる。屋根をふき替え、古い瓦をとりあえず積んでいる場合、これは燃えないゴミの置き場となるのだろうか。

 本来の場所でなくても、任意の場所に長く置かれていると、そういう風景として定着してしまう。確かに機能はしてないし、置物としての積極的な意味合いもない。だが、捨てるには惜しい存在だ。

 石灯籠と積まれた瓦とは、存在の意味は違うが、個人的な見え方としてなら、同じような有り様として存在できる。  瓦は石庭の石のように、置物ではない。しかし、そこに置かれ、それを見て、それなりの趣があれば、これは立派な置物なのだ。