川崎フォトエッセイ  その375  ラブ    ←前 →次  HOME

「愛」のメッセージが街中にペイントされているのを見ると、それは世界に向かって書き込まれているように感じるが、単なる叫びの落書きでしかない。

 たとえば名前だけの落書きは、その名前の人が見れば、びっくりするだろうが、誰が書いたのかは、わからないかもしれない。落書き者のサインが入った落書きは、滅多にお目にかかれない。愛の表白的落書きは、書いた人の中で充足しているのだろうか。

 メッセージを伝える方法が、いくら高度に進化し、発展しても、落書きの素朴さには勝てない。

 インターネットで様々な情報やメッセージが飛び交うのを日常的に見ていると、街頭に書き込まれ、表示される落書きが新鮮に見える。

 ある人が、プライベートなある感情を持ち、それをどこかに表示させたいという思いは、特出しすぎる行為だが、本人にとって、それは落書きではないのかもしれない。