川崎フォトエッセイ  その507  超高層ビル      HOME

 街に飛び抜けて高い建物が建つと、否が応でもそれが街の一つのシンボルになる。その種の建物は街の人とはあまり関わりのないものが多い。その人とは関わらなくても街と関わると言うことだろうか。

 目立つ建物が林立する都心部では、もう、どれがシンボルなのかがわからなくなってしまう。街のシンボルとして古い時代に建造されたものよりも目立つのだが、新しいもののほとんどが今風な理由のため、シンボル性は非常に薄い。つまり建物の高さを、ただ高くしただけのことなのである。

 高層ビルは、上下の広がりで、横への広がりはない。窓から空中へ出てしまうためだ。木の上で暮らしている動物にとっては、上下移動は苦ではないかもしれないが、二本足で歩く人間は、平らな地面を移動するのほうが楽である。

 隣と二階とでは距離は離れていなくても、どちらが行きやすいかは説明するまでもない。