川崎フォトエッセイ  その526  ステージ      HOME

 誰がどこで見ているかわからないという意識は、自分の部屋を出た瞬間から生まれる。見知っている人に対してと見知らぬ人に対してでは意識のかけ具合は異なるが、街では前者との遭遇のほうが圧倒的に多い。

 不特定多数の人に見られていることは、劇場のステージに上がっているのと同じだ。この場合、誰かに対してではなく、一般の人達に対しての構え方となる。

 その構えが、自分に対してとかでも、自分の中の他者に対してとなり、セルフイメージの視点も、他者の視線とだぶっている。

 不特定多数の人達に対する配慮は、相手のことがわからないだけに、ニュートラルな色合いでいるほうが棘は少ない。そこに、自分の意志とかを出しすぎるとくどくなり、特定の人にしか理解されにくくなる。

 個性を出しすぎる人は、逆に個性のなさの裏返しのような感じで、素の状態では不安なのかもしれない。