川崎フォトエッセイ  その544  異界      HOME

 観光地として仕立てられた街角がある。そこは国内でも、別の領域としての印象がある。それは、何らかのイメージを見せるための演出がなされているため、違和感を感じるのだ。

 観光地としての意識のない町並みは、今の生活状態を反映している。雑多なものを含むことによってリアリティーがあり、逆な意味で落ち着く。

 演出された観光地に違和感を覚えるのは「これが普通の状態ではないだろう」と突っ込みを入れたくなる隙があるからだ。それは、イベント中の街角でも同じだ。

 その種の観光的街角は、現実とかけ離れた雰囲気があるが、それを求める人がいるのだから、用意するのも悪くはない。そして観光地とは、そういうものである。

 ただ、現実の領域で生きている僕らにとって、観光地の企みを経済的な目論見と重ね合わす癖もある。

 観光地は、現実上にある異界として、ひとときを楽しむには重宝する。