川崎フォトエッセイ  その552  いおり      HOME

 狭い空間は落ち着くが、密室度が高すぎると、逆に不安になってくる。人は室内だけで暮らしているわけではないため、いくら狭い場所で寝起きしても、それほど窮屈ではない。

 千畳敷の大広間を持っているような人でも、四畳半ほどの空間である方丈で、最終的な憩いを味わうこともある。等身大の人として暮らす場合の塒としてふさわしいのだろう。

 いくら権力があり、豪邸の主であっても、それは他者に対する権勢とか誇示とかが含まれた空間で、個人の空間ではないため、実際には快適さとはほど遠いのかもしれない。

 人は背景を背負っている。その背景とその人とが合致しなくなるときがある。背景のほうが目立つこともあり、その人が沈んでしまうこともあるのだ。

 最初から四畳半で暮らしている人にとっては、そこで暮らす安らぎは実感できないかもしれない。