川崎フォトエッセイ  その553  影の素      HOME

 虚々実々の駆け引きというのがある。本当か嘘か分からない状態は、ノーマルな関係でも同じである。

 実体が額面通りではなく、影のほうが本質を現していることもある。影は嘘ではなく、実体から派生したものだ。実体がなければ影も現れない。しかし、実体がないのに影だけが一人歩きしていることもある。この場合は嘘である。

 しかし、実体として宣言されたものが、嘘の宣言だった場合、嘘ではない実体を探すことになる。実体が嘘をついているかどうかはその場の関係や受け止め方や表現方法で変わってくる。

 実体が素(す)の状態で在るかどうかは、これもまた確かめようがない。憶測や推測で素を見いだそうとしても、見いだそうとする側の都合が加わり、素が嘘にもなるし、嘘が素にもなる。

 伺いしれないことに対しては、感情をセーブすることが肝要だ。