川崎フォトエッセイ  その554  家柄      HOME

 人は何らかの場所に所属している。最近では複数の所属団体に在籍することも希ではない。

 生まれたときから所属している場所として家族がある。その家族はまた何らかの家系に連なっている。いわゆる血縁である。

 家紋はその家のシンボルマークである。葵は徳川家、桐は豊臣家で有名である。家紋を誇れるのは、それなりに有名な家系の人で、何らかの権力の象徴でもある。その力が衰えても、名家の末裔であることを示せる。これはそうではない人にとってはフェアーではない仕掛けなのだが、元々フェアーではないからくりなのだ。

 家系を自慢するような人は、逆に弱さの現れとしてみてしまうことがある。その人と先祖の関係が重要な場合は別だが、自分を飾るための道具として使われると、不条理なものを感じてしまう。

 一種のブランド志向がそこにあり、そうでない人々の上に立っているかのような心境になるのだろう。