川崎フォトエッセイ  その588  ある夕日      HOME

 ある日、夕焼けを偶然見た。年に何回か見る機会があるが、僕が見ていないだけで、夕焼け現象は起こっているのだろう。

 僕の住む場所が雨で、夕焼け空にならなくても、少し離れた場所は晴れており、素晴らしい夕焼け空になっているかもしれない。

 同じ雲を見るにしても、見る位置によって絵は異なる。ビルの谷間から見えることもあれば、山の上から地平線を含んだ絵で見ることもあるだろう。

 僕が現場にいなくても、ある現象は存在している。それは僕だけが想像する世界ではなく、現実に起こっていることである。これを疑い出すと、日常がおかしくなる。しかし、夕焼けに関して、その種の疑いを起こすことがそもそも異様なのだ。

 同じように夕日を見ても、人により反応は違う。どう受け取るかは個人的なことで、そこに「私」というものが生きていることが分かる。