川崎フォトエッセイ  その615  日常中      HOME

 人は何らかの行動をしているが、その途中は何をやっているのか分からない状態もある。他人が見ても、その人がどんな用事をしているのかが見えにくい場合、その現場は絵になりにくい。

 日常の野暮用的な現場はアート的な頭は働きにくい。カメラを構えてそれを写す行為は、非日常的で、目の前の現実から引いた位置にいないとシャッターは切りにくい。

 日常の中の人々は、油断をしている。被写体としての準備をしていない。写す方も撮影者としての準備はしていない。そのため、普段の生活の中で、写真を写すという行為は日常的ではない。

 日常を切り取る行為は非日常的行為を経ないとなると、映っているものが日常的風景でも、作為的である。

 慣れが高じて、その人の日常の中に組み込まれても、他の人はそうは思わないという意識があるはずである。