川崎フォトエッセイ  その667  花と人      HOME

 人が集うには場が必要である。花見の宴などはイベントとしては自然な感じだ。年中行事としてありふれているだけに参加しやすい。

 花見は花を見るためにあるのだが、実際に花よりも人のほうがインパクトは強いので、桜の花は単なるネタになる。

 一人で見に行く花見でも、そこが名所なら、花よりも人を見ることになりかねない。桜の花は、一つ見れば、あとは似たようなもので、見る角度や背景で趣の変化はあるものの、人の動きに比べれば動きのも度合いも少ない。

 しかし、繁華街や街頭で見る人の群とは違い、桜の木の下で見る人々は、また違った印象を受ける。それは花見に来ている人達なので、多少は浮き世から切り離された情緒を宿しているからだ。

 花見での人々を見ていると、花も人も、同じ階層内にいるようだ。ここではしばし、花と人とが同列で並ぶ。