川崎フォトエッセイ  その669  菜の花の季節      HOME

 季節の移り変わりは背景から来ることもあれば手前から来ることもある。風景での一番の背景は空だろう。空のちょっと手前に雲が浮かんでいる。初夏になると入道雲に切り替わっていたりする。

 一番の手前は地面だろう。草花が季節の移ろいを教えてくれる。さらに足元を見ると自分の履き物が見える。年間を通して同じ靴の場合もある。

 こうした変化の中で僕らは暮らしている。毎年その風景を繰り返していると、慣れた驚きに変わる。昨年と同じように夏がやってきて、夏の景色に様変わりしていくとしても、時間が動いていることに対する感慨が加わる。

 たとえば菜の花を見ると、去年の今頃は何をしていたのだろうかと、人生規模でものを考える。そのあたりに生きた気持ちがある。

 時は継続している。それと分かるのは、同じ自分がそれを見ているためだろう。