川崎フォトエッセイ  その678  背面情報      HOME

 僕がある人の後ろ姿を見ているとき、その僕の後ろ姿を見ている人もいるはずだ。さらにその人の後ろ姿を…と、続くかもしれない。

 人の後ろ姿を見ていると、自分の後ろ姿が気になることがある。他人のそれを見られるように、僕も見られているからだ。

 人は正面に情報が多く、背面にはほとんどない。どんな顔なのかは分からないが、頭の輪郭や髪型などがそれとなく分かる。体格も後ろからでも分かるし、年齢もそれとなく分かる。

 しかし、後ろ姿の情報は正面に比べ抽象的だ。  漠然としたアウトラインを持った「人」として見る感じは、悪くはない。迫ってくるものが少ないからだ。

 正面を向いた人と話すとき、敢えて視線を逸らすのは、相手の人柄やパーソナルティーとかの「具」を緩和する働きがある。後ろ姿になら話しかけられる内容もあるからだ。