川崎フォトエッセイ  その702  里からの履歴       HOME

 里の風景は、日本の原風景の一つになり得る。これは似たような環境の中で、長く暮らした履歴がものをいっているためだろう。

 里の生活は、暮らしぶりとしては農業である。里である限り、そこは定住する人がおり、幾世代にも渡って田畑を耕しつつづけている。近くにある古代遺跡があれば、その時代から、綿々とその土地を弄り続けているのである。

 先祖代々から続く、文化的履歴の影響力は強く、田畑から離れても、その癖は続いている。全くそれからかけ離れたような考え方の人がいても、その反動からではないかと思えるほどだ。

 個人的な原風景とは別に、集団的な原風景がある。それに触れたとき、恥ずかしいものを感じたりもする。

 日本にある古いものを、若い人が興味を示すのも、その素質がディフォルトとして備わっているからだ。