川崎フォトエッセイ  その701  目印      HOME

 タワー型の建物はシンボルになりやすい。規模が小さな村落なら、鎮守の森の大木が、それにあたる。さらに小さな領域では、目立つような樹木がそれに当てはまる。

 少し前の町内や村落では火の見櫓や煙突が場所のシンボルになっていたはずだ。いずれも遠くから見ることが出来るため、目印になりやすいからだ。

 特に小さな子供にとって、自分の暮らす場所を示す目印は、遠くまで遊びに行ったときなど、帰ってくるときの指針になる。徒歩や自転車の時代なら、その機能は十分果たせた。

 共同体が共有している目印とは別に、個人的な目印もある。また、地理的な目印ではなく、気持ちの上での目印もある。

 それらが古くなり、もう使わなくなっても、その目印は、それとは関係なく存在し続ける。無くなってしまった目印もあり、思い出の中だけに出てくる目印もある。