川崎フォトエッセイ  その714  旧モダン       HOME

 ついこの間までモダンだった建物も、新しいものに置き換えられ、古い形式になってしまう。それはいつの時代でもそうだが、近代になるほど、その周期が慌ただしく変わり、新しさに対する信憑度が落ちている。

 新しいものが、目の前で次々と古くなるのを見ていると、最初から古いものを掴まされているような気持ちになる。

 それでも新しさに対する神話が消えないのは、今よりより快適で、便利なものが登場するからだ。確かに比べてみれば、その違いが分かるのだが、質としては逆に落ちていることもある。

 新しいものを求めるのは、そのものに魅力がある以上に、精神的な要素も強い。旧来のものを一掃し、新しい気持ちで、何かをやり始めたいと思うときもあるからだ。

 新しくなりにくいのは、むしろ人の気持ちや感情である。

 そして自分のためと言うより、他人にどう思われているかで、動きが左右されることも多い。