川崎フォトエッセイ  その767  ビルを植える       HOME

 平野があれば、今は、そこを田畑に変えゆく風景よりも、建物を植えるような感じで、ビルが林立する風景のほうが多くなった。

 市街地には雑多な建物が植えられ、栽培されている…という感じである。

 その建物が、マンションとかの住宅なら、建物の意味は分かりやすいが、雑居ビルになると、明快なジャンルわけはしにくくなる。

 高層マンションに住み、高層オフィスビルに仕事に出かける。これは、農家から田畑へ出かける図と同じである。

 土地を耕している絵は、分かりやすい。どんな仕事なのかはすぐに分かる。動いている行為が見えるからだ。

 オフィス内で仕事をしている人は、何をしているのかが見えにくい。これは商家で商う絵ほど視認性が高くはない。確かにそれは仕事なのだろうが、仕事内容までは知ることは難しい。

 都市はブラックボックスである。それは単に見えにくいだけのことだ。