川崎フォトエッセイ  その771  音       HOME

 音の出る物は、何でも楽器になる。この場合の音とは、音楽的な音で、音楽的な音とは耳に快い音色を指す。

 しかし、快さにも幅があり、ガラスを爪でこすったときの音や、ヒステリックな金属音でさえ、快感と感じてしまうこともある。

 音を出す楽器は、物理的にこの世にある楽器から発せられるとは限らない。つまり、生演奏で直接楽器から伝わってくる音だけではなく、CDやレコードや、テープからも聞こえてくるし、当然テレビやラジオからも伝わってくる。

 つまり、音は記録できるため、それを再現させる装置で、音質さえも弄ることができる。

 もっと言えば、楽器そのものを使わなくても、音は作れる。

 電気を使わないオーソドックスな楽器から、伝わってくる音は、人の息づかいや、指や身体の仕草と等身大を少し拡大した程度の伝わり方をする。  しかし、遠くまで伝わる音。それが楽器の先祖かもしれない。