川崎フォトエッセイ  その855  変化       HOME

 場所による景観の違いは標準的なものからズレやすいため、いわゆる「一概には言えない」ことを証明してしまう。

 今の時代を敏感に反映したような町もあれば、それが鈍い場所もある。これを一括りにして今を語るのは無茶なのかもしれない。

 今を語る場合、語りやすい今を語るような節がある。その面だけ聞いていると、ほとんどの景色が今に染められているかのような感じになりやすい。

 確かにこの時代の波は隅々にまで行き渡っており、数十年前と比べれば変化している箇所は見いだせるだろう。その僅かな変化は、変化として語る場合、節が弱くなる。だから、できるだけ変化の激しいものを扱うのだろう。

 変化が鈍いと言うより、変化が穏やかな町は、住んでいる人にとっては、その変化に気づきにくいだろう。

 しかし、知らず知らずにうちに、人も町も変化していく。その変化について、取り立てて語るほどではないこともある。