川崎フォトエッセイ  その854  歩幅の道       HOME

 この地面上は今の時代でマッピングされている。当然それは時代と共に書き換えられていく。

 地図は現実に即したもので、その上を走っている道は具体的な道である。今は車道が道のメインである。

 その道とは別に、意味としての道がある。何かのための道である。元々は、ある場所とある場所を繋げるために道は造られていたのだから、それは今も昔も変わらないのだが、今の道は無機的で味気ない。

 道路は多目的に使われる。それだけ目的が多様化している証拠だろう。

 意味としての道は、精神的な意味での道も含まれるが、それだけではなく、人が長年歩いてきた道も指す。その道は旧街道が良い例だ。

 昔の東海道は国道1号線となり、同じ場所を走っていない。国道は自動車道路としての道である。

 人間の足幅を尺度とした道ではなく、タイヤを尺度とした道は、文字通り人の道から離れてしまう。車という機械の道は、この時代のストレスまで抱え込んだ道になっている。