川崎フォトエッセイ  その882  色       HOME

 色彩が少ない、または無い映像を見ていると、ドラマチックで、そしてリアルに感じてしまうのはどうしてだろうか。

 僕らが日常の中で見ている世界には色が付いている。ほぼ天然色である。その意味では、カラー映像のほうがリアルなはずだ。

 天然色の天然は、漠然としている。というより範囲が広い。自然界は奥が深すぎ、とてもではないが、掌握しきれない。さらに言えば、明快なポイントがないのだ。全てがそこにあるという感じだ。

 ドラマを感じるのは、何かを抜き出した状態だろう。他の情報や、またジャンルをそぎ落とし、あるポイントを見せるのがドラマだろう。

 色彩が欠けると、豊かな添加物も欠ける。形や、その存在をクールにしてしまう。色が欠けると、その箇所を埋めようとするかどうかは分からないが、想像させることは確かだ。

 色が無くなると、抽象に近づく。ドラマは意味の物語だ。意味は抽象のすぐお隣にいる。