川崎フォトエッセイ  その892  古い鮮度       HOME

 以前なら、平凡で、単純な印象を与えていた景観も、新しい建物や建築様式で街が塗り替えられていくと、新鮮ささえ感じてしまうことがある。

 この時代の、今建ちつつあるものも、いずれその運命になるのかと思うと、最初から過去形で建つような気分だ。

 時代を経ても、その当時の「今」の鮮度が未だに色濃く残る景観は、その建造物に生命力がまだ残っているためだろうか。

 建物の多くは、その中での人の営みがある。当然建物に対しての管理や修繕などのメンテナンスも加わるだろう。

 その意味で、人の手がきっちりと行き届いている建物は、古い新しいもなく、場としての鮮度を保ち続けているのかもしれない。

 また、良い建造物は、持ち主も、取り壊したり、模様替えとかもしにくくなるだろう。建ったときの気分を維持している建物は、それだけの価値があると言うことだろうか。