川崎フォトエッセイ  その915  畳の部屋       HOME

 見知らぬ人々が集まる場所で、それが屋内で、しかも畳の部屋である場所は、最近減ってしまった。

 たとえば葬式も自宅ですることは減っている。観光旅館やホテルの大広間などが、畳の上での社交場となっているかもしれないが、宴会が多いだろう。

 たまに畳の部屋に通されると、ホッとすることがある。それは、寝ころんだり出来そうな雰囲気だからだ。

 畳は藁で出来た絨毯のような物だが、それにしては分厚いわりには、クッションも良くない。しかし、この太さがないと、湿気の多い日本では、いきなり板の上に敷くことは出来ないし、第一歩きにくいだろう。

 椅子の上を歩かないが、畳の上は歩く。畳の上に座布団が付き物だが、これはどう見ても布団の断片である。

 座布団は、何処にでも敷けるように、布団も何処に敷いてもかまわない。布団を部屋中に敷き詰めると、畳は消える。