川崎フォトエッセイ  その939  煎餅       HOME

 行列が出来るケーキ屋は聞くが、行列が出来るせんべい屋は聞かない。しかし、煎餅やおかき、そして餅、広くは和菓子は、亡びてなくなってしまうわけではない。

 中高年の人が行き交う町、たとえば、庶民的な信仰を集めている神社などがある沿道には、その年代にふさわしい食べ物を売っている店が多い。煎餅などもその例だが、今の若い世代は煎餅など興味のないような顔をしているが、中高年になると、お爺さんやお婆さんが食べているおやつを、引き継いで食べるのか、または、若い頃の趣味のまま、見向きもしないのかは、まだよく分からない。

 しかし、日本的なものを見直す風潮もあり、音楽にしても和太鼓や琴など、学校でも取り上げられるようになっている。

 日本的なものは、ダサイと極端に思いこんでいる世代もある。全てにおいて、西洋のものが優れており、格好いいという風潮だ。

 その世代の人が、お爺さんお婆さんになり、渋茶をすすりながら、煎餅を食べる人となるかどうかは、まだ見届けていない。