川崎フォトエッセイ  その1025  生命       HOME

 自然の風景には人が抱く感情のほとんどのものが含まれている。

 それは人の感情を通してでないと見えてこない。人が勝手にその感情を自然現象に重ねているのだ。

 人は物によって作られているが生命がある。生命のあるものは生命のあるものに馴染みを感じる。

 石や岩や水は生命ではない。しかし、人は生命なので、生命を通して無生物を見つめる。要するに、無生物、無機物としてものは見られないのだ。

 その意味で、機械的な処理をする場合、物が物に何かをするように化けているだけで、機械になったわけではない。

 無機的なものを楽しむ気持ちは、自分から少し離れて、単純なものになることだ。

 生命は自分の小賢しい意志とは違う振る舞いをする。機械よりも遥かに複雑で、仕掛けの複雑さだけではなく、ジャンルを飛び越えたものとも接触してしまう。