川崎フォトエッセイ  その1118  洞窟       HOME

 街には自然の洞窟は存在しないが、人工の地下トンネルはある。しかし、階層がはっきりしているあたりに、それが、建物と同じカテゴリーに入ることが分かる。

 自然の洞窟は不気味そのものだが、人工のそれも、不気味な場所がある。地下通路は歩道や廊下と同じようなものなのだが、土中にいることには変わりない。

 そして、人がいない地下通路は不気味だ。普通の道と違い、周囲は土中なので、見晴らしの悪い一本道となる。

 さらに、造られて、かなりの歳月を経ると、自然の洞窟に戻るわけではないが、それに近い趣になりやすい。

 その階段を下りると、人がいる改札口とかに出られるとしても、無人の階段は、誰も見ていない死角が続く。

 ほんの一瞬だが、孤立したような気持ちになる。もしそれが、地上にある改札口とかなら、そんな思いはしなくてもすむ。利便性で造られたものが、必ずしも人の気持ちとはは繋がっていないことが多いのだ。

 

 

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