川崎フォトエッセイ  その1126  虚構       HOME

 実体よりも虚構のほうが、分かりやすいことがある。実体はリアルすぎ、あらゆる要素が加わっているため、取り出し方が難しいが、虚像は何らかのポイントを最初から抜き出されている感じだ。

 実体に比べ、虚構は浅いため、食べやすいこともある。

 虚構は現実をねじ曲げているわけではないが、実体とはまた別のものだ。

 虚構から実体を遡るのは危険で、虚構には存在しないからと言って、実体にもそれはないとは言い切れない。

 実体より、虚構のほうがイメージ的にも分かりやすいため、その延長線上で、実態を把握したつもりになるが、とんでもない落とし穴が存在するだろう。

 虚構は、実体ほど豊かなものではない。実体は、実際のもので、本当に存在していた、またはしているものだ。

 しかし実体を語る時、何らかのフィルターをかけないと、語れない。語るという行為そのもが、既にフィルターなのだから。

 

 

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