川崎フォトエッセイ  その1127  葬式       HOME

 得体が知れなくなった物体が、町中に置かれていることがある。

 大型ゴミの日などに、引退した物体が出される。しかし、原型が分からなくなるほどの物よりも、さっきまで使われていたような物体のほうが多い。

 大型ゴミの日は、それらの物体達にとっての葬式となる。回収されると、もう、この世に、その形を残すことなく、何かに変換されてしまうためだ。

 この葬式の参列者は、通行人だ。今まで、部屋の奥深い場所で、寝込んでいたような物体が、急に人が行き交う通りに出される。

 古い物体は新しい物体に入れ替わる。その新しい物体も、いずれ同じ運命を辿る。

 電化製品やデジタル機材の寿命は短い。一生使えるわけではない。

 しかし、時代の旬を見なければ、永遠に使えるかもしれない。

 旬を見ないとは、他との関係を無視出来る状態で、過ごせることだろうか。