川崎フォトエッセイ  その133      ←前 次→  HOME


 残しておきたい風景がある。町中の風景は、テンポが早いので、それを期待するほうが無理だ。

 しかし農村風景も、都市近郊では町中よりも変化が大胆で、あっという間に宅地になったりしている。

 ビルやコンクリートに囲まれたなかで暮らしていると、土が見たくなる。地面が見たくなる。この星は地球だが町中では「地」を見ることが、まずないのだ。確かに公園とかでは「地」を見ることが出来るが、それはちょっと違うような気がする。やはり周囲も「地」のタッチに合わせた景観でないと……。

 素朴な土地に憧れる反面、そこで暮らせと言われたら、僕は実行する自信がない。雑多な人工物に囲まれた生活に慣れてしまっているため、逆に落ち着かないのだ。

 良いものと日常の暮らしとは違うのかもしれない。日常の場は、ケガレの場のためだろうか。