川崎フォトエッセイ  その134  正方形    ←前 次→  HOME


 正方形に切り取られた写真を見ると広く感じる。実際には横長の写真を切り取ったものので、写っている範囲が狭くなるのだが、上下左右への広がりが得られる。
 人の眼は、何かを注視すると、その周辺がぼやけて見える。眼を細めると、比較的全体にピントが合うように見えるが、それでも周辺部は曖昧なままだ。一応視野には入っているので、見ていることにはなるのだが……。

 人間の眼は、広角レンズ並の広さを持っている。そして周辺部の描写は甘い。この周辺部をカットすると、窮屈になる。はっきり見えていなくても、視野に入っているほうが好ましい。

 ゴーグルとかを付けると、その周辺部が多少カットされる。それだけでも息苦しく思えてしまう。注視していない周辺情報でも、注目すべきものが入り混むと、目玉を動かしてすぐにピントを合わせることができる。

 目の玉を常に動かしている人は、落ち着きがないとか、集中力がないとか言われるが、それなりに注意深い人なのである。