川崎フォトエッセイ  その193  缶塚    ←前 →次  HOME

 缶入りの飲み物は便利だ。本来ならガラスのコップや湯飲みが必要だったが、それを用意することもない。器をあとで洗わなくてもすむので、不精者には重宝する。

 自販機で売られる前から缶入りジュースとかはあったが、日常の中に入り込んでいなかった。遠足とか運動会とか、何か特別な屋外用の飲み物だったような記憶がある。

 しかし、僕は毎日自販機で烏龍茶を買ってきて飲んでいる。多い日は三本買っている。当然空き缶が溜まる。幸い、燃えない日に出せるので、ポイ捨てにはならないが、まあ、もったいない話である。

 缶モノの難は、中身が見えないことだ。毎日飲んでいる烏龍茶でも、その色を知らない。飲み残しを流し台でに流すとき、それなりに色は確認できるが、そのときは味覚とは無関係な色との遭遇になる。

 大昔の貝塚のように、缶塚が見つかり、平成のあの時代、こんなものを人類は飲んでいたのかと、語られる日が来るかもしれない。