川崎フォトエッセイ  その226  道頓堀    ←前 →次  HOME

 江戸時代のはじめからあるような歓楽街は、今風な建物に変わっても、場としての密度の濃さを維持しているようだ。

 空気が濃いのである。特に大阪はアジア的色彩が強く、日本の一都市というより、アジアの中の一つの街のような趣がある。台北と大阪が地続きのように感じられるほど、違和感が少ない。

 ベタベタと張り付けられた巨大な看板や、無秩序に並ぶ建物、迷路のように入り組んだ通り。どこがどこに繋がっているのか分からない場所なので、やたらと浮き足立ち、躁状態になる空気を、この街は持っている。

 猥雑な街とは、統一感がなく、それぞれがそれぞれ露骨に振る舞っているような場所である。これは正直といえば正直で、気取りがないため、羽目を外せるメリットがある。隙間や無駄やムラがあると、それにつけ込みたくなる。

 大阪風に言えば、突っ込みを入れたくなるような街なのだ。