川崎フォトエッセイ  その541  文化      HOME

 食べる行為だけを抜き取れば動物的意味では単純明快だ。そこに食文化とか食生活とかが加わると、精神的なものや経済的なもの、そして人格的なものが動く。

 同じソバでも、立ち食いソバで食べるのと、きっちりとしたそば屋さんで食べるのとでは違ってくる。ソバそのものの味覚は主観的で、これは好みの問題でしかない。

 茶道などは、お茶を飲む行為にまつわるあれこれを加え、何々流の作法というのがあるようだ。たとえ無作法でも、それが一つの作法となる。

 人は動物的行為を嫌う面がある。それは動物が嫌いなのではなく、動物的なところから離れれば離れるほど、文化度や品格が高いと思うからだ。

 動物的な面で劣る人が救われるのは、この文化の力だろう。しかし、人は底部に動物的威嚇を持っており、いくら文化的な世界でも、男ぶりや女ぶりとかが顔を覗かせるようだ。