川崎フォトエッセイ  その861  池       HOME

 観賞用の池は、庭園内では残っているが、溜め池などは徐々に消えつつある。

 池に水をため、農地を潤すというような目的も、田畑が宅地になってしまうと、用途がなくなるためかもしれない。

 宅地となった場所に残っている池は、子供が落ちたりするおそれもあるため、柵が施され、立入禁止になるケースが多い。

 これは単に管理上の問題で、事故になったとき、責任問題が問われるためだ。危ないものには蓋をするか、なくしてしまうことで、その問題が発生しないようにするわけだ。

 しかし、池の持つ神秘さから教わることも多い。それは池よりも事故の発生率が高い道路からは単純なものしか引き出せないが、池からは自然の神秘を垣間見ることができる。

 池には「主」がおり、それは大きなコイや蛇だったりするのだが、見ることはほとんどないし、また「主」がいるかどうかも定かではない。

 人と自然との接点で、昔から人々は物語を作ってきた。そして池とかの身近にあった自然が消えると、神秘のよりどころも変わっていくことになる。