川崎フォトエッセイ  その972  もっちゃり       HOME

 もっちゃりしたものは、安堵感を与えることがある。逆に苛立ちを感じることもあるが、自分の利害の外にある場合は、その気持ちも遠ざかるだろう。

 時代の真新しいものばかりを追いかけていると、昔からあまり変わらないものに安堵感を覚える。その対象を古いとか、時代遅れだとかではなく、安定した存在として見るからだ。

 今、自分がやっていることが、将来安定した事柄になる可能性は謎のままだ。おそらく安定するだろうという希望程度で動いているのではないだろうか。

 そうなると、陳腐で、もっちゃりとしたものを小ばかにするわけにはいかなくなる。

 昔へと戻るのが嫌なのではなく、そちらの方向へは進めない事情もある。そこへ割り込む余地がないとかだ。

 僕らが今、最先端だと思ってやっていることも、すぐにもちゃりとしたものになるかもしれない。